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コロナウイルス関連英語表現集(9)オーバーシュート、感染拡大2020.07.21


 日本では、東京で一日の新規感染者が連日200人超と大騒ぎ(?)をしていますが、アメリカでは南部を中心に感染が拡大しており、一旦下降気味だったコロナによる死者数が、また上昇傾向にあり、7月に入り連日900人前後で推移しています。

 日本で感染が拡大している頃、よく聞かれた「オーバーシュート」ですが、感染が拡大する中、アメリカのメディアや専門家がovershootを使うことはありません。「オーバーシュート」は、日本では「爆発的感染」という意味で使われ、専門家会議は「2~3日以内で累積患者数が倍増し、かつそのスピードが継続的に見られる状態」と定義していました。

 ニューヨーク市は3月に、そうした状況でしたが、アメリカでovershootという言葉が使われることはありませんでした。米メディアで、overshootがコロナ・感染症に関して唯一使われたのは、5月に入ってから「オーバーシュートとは、集団免疫に達した後も感染者が増え続ける状態」という説明です。つまり、「必要以上に増えること」という意味で、本来のovershootの意味です。

 英語のovershootが、どのように使われるかは後日説明するとして、ここでは「爆発的感染」が、英語では、どのように表現されるかを紹介します。

Surge、Spike


 「急増(する)」という意味で使われるのが、surgeやspikeです。Surgeは「大波」「波のように押し寄せる」という意味ですが、「急な高まり」という意味で様々な状況で使われます。Spikeは「先のとがったもの」という意味で、靴のスパイクもこれから来ていますが、やはり「急増」という意味で使われます。

 下記のように、どちらも、「急増する」という動詞としても、「急増」という名詞としても使われます。

Hospitalizations are rising as coronavirus cases surge.
(コロナウイルスの感染者が急増するとともに、入院数も増えている。)

The second COVID-19 surge is here. 
(コロナウイルスの第二波が来ている。)

Coronavirus cases continue to spike in southern states.
(南部の州で、コロナウイルスの感染が急激に増え続けている。

Hospitalizations of COVID-19 patients have spiked in recent weeks.
(ここ数週間で、コロナウイルス患者の入院数が急増している。)

Coronavirus spike is overwhelming area hospitals.
(コロナウイルスの急増で、地域の病院が逼迫している。)

Epicenter、Hot Spot


 ニューヨーク市で爆発的感染が起こっていたときに、英語メディアで非常によく使われた表現にepicenterがあります。Epicenterは、元々「地震の震源地」という意味ですが、「好ましくないことの中心地」という意味でも使われます。*

New York City, once the COVID-19 epicenter, has begun reopening.
(かつてCOVID-19の震源地であったニューヨーク市では、再開が始まっている。)

Miami is becoming the new epicenter of the pandemic.
(マイアミが、パンデミックの新たな震源地となりつつある。)

 同じような表現にhot spotがあります。元々、「周囲よりも熱が高い地域」という意味ですが、「危険な状況が生じている地域、紛争地帯」という意味で使われます。感染症では「流行地域」という意味です。

  「Hotspotの綴りは一語か、hot spotのように二語なのか、どっち?」という人もいるでしょう。一応「Wi-Fiのhotspotは一語、それ以外は二語」という決まりがあるようですが、Wi-Fi以外でも一語で使っているメディアも多数あります。

According to the CDC, Miami is a new coronavirus hot spot.
(CDCによると、マイアミが新たなコロナウイルスの流行地域だ。)

Where are the COVID-19 hot spots?  Tracking state outbreaks.
(コロナウイルスの流行地域は、どこなのか?各州の流行状況を追跡。)

Outbreak


 上記のoutbreakも、コロナウイルス、感染症に関して英語メディアで非常によく使われます。「(戦争などの)勃発、突然の発生」という意味ですが、米CDCでは、感染症に関して「一定の地域や集団で一定の期間に、通常予測されるよりも多く発生する状況」と定義しています。

 下記の例文で見るように、日本語では、直訳の「発生」よりも「感染拡大・流行」の方が適していると思います。

With the recent spike in COVID-19 cases, the US may be headed toward a "full-blown" outbreak.
(最近のコロナウイルスの感染者の急増で、アメリカは感染爆発に向かっているのかもしれない。)

 

  


* 「ウイルスが発生したところではないのに震源地?」と思う人もいるかもしれないが、アメリカの専門家の間では「震源地」というのは正しくないし、「他の地域は心配しなくてもいい」と誤解を招くので「hot spot」の方がいいという意見あり。

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この記事の筆者

有元美津世

大学卒業後、外資系企業勤務を経て渡米。MBA取得後、16年にわたり日米企業間の戦略提携コンサルティング業を営む。社員採用の経験を基に経営者、採用者の視点で就活アドバイス。現在は投資家として、投資家希望者のメンタリングを通じ、資産形成、人生設計を視野に入れたキャリアアドバイスも提供。在米30年の後、東南アジアをノマド中。訪問した国は70ヵ国以上。
著書に『英文履歴書の書き方Ver.3.0』『面接の英語』『プレゼンの英語』『ビジネスに対応 英語でソーシャルメディア』『英語でTwitter!』(ジャパンタイムズ)、『ロジカル・イングリッシュ』(ダイヤモンド)、『英語でもっとSNS!どんどん書き込む英語表現』(語研)など30冊。

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