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タカシの外資系物語

外資系と資格(その2)2018.11.27

自動車免許はもういらない?!


(前回の続き)日本とグローバルでは、“資格”に関する考え方が大きく違う?! 今回のコラムでは、資格の中でも人気の高い IT系資格 についてお話ししたいと思います。


前回のコラムで、

 

「私は履歴書の資格欄に 普通自動車運転免許 しか書けるものがない!・・・(T-T)」

 

というお話をしたところ、ダイジョブでコラムの編集を担当されているAさんから、

 

「私は普通自動車運転免許すら持っていない!・・・(T-T)」

 

というメールが来ました。で、私が返したメールが以下の通り。

 

もうすぐ、自動運転の時代が来るので不要です!!

 

(ちなみに、Aさんは英語がめっちゃできますので、資格欄にはそれを書くことができるんですがね・・・)


テクノロジーというのは、ときに恐ろしいほどの破壊力で、われわれの生活を変容させます。近い将来において、自動運転が本格的に実用化されれば、自動車の運転免許というのは、意味をなさなくなってしまいます。


また、現在起こっているテクノロジーの進歩は、過去のそれと比べると、極めて非線形に生じています。自動車産業で説明してみましょう。二十世紀初頭、フォードという会社がベルトコンベアによる流れ作業で自動車を組み立てる画期的な生産方式を発明しました。これによって、生産性が飛躍的に向上した結果、工場で働いていた組立工は失業の危機を迎えたわけです(この様子は、喜劇王チャップリンの映画『モダン・タイムス』にて描かれていますね)。果たして、組立工の運命やいかに?!

君は3Dプリンターが使えるか?!


フォードのベルトコンベアによる生産性革命によって、従来の組立工は職を追われた・・・と思いきや、実はそうでもなかった。なぜなら、それまで自動車本体を組み立てていた組立工は、ベルトコンベアを組み立てる側に職能転換したからです。もちろん、従来の組立工全員が、職能転換できたわけではありません。技術革命という事実を受け入れ、新しいスキルの獲得を前向きに取り組んだ組立工だけが生き残ることができたわけで、これは現在にも通じる話だと思います。

 

一方で、現在には通じない話もある。それは、技術の非互換性という問題です。自動車の組立工が、ベルトコンベアの組立工に職能転換するというのは、少し慣れれば、対応は可能だと思います。機械の組み立て作業という意味では同じなので。しかし、ベルコンベアの組立工に対して、3Dプラインタを使って部品を成形しろ、というのは、相当な飛躍だと思います。自動車の運転も同様で、例えばタクシーの運転手に、自動運転用のプログラムを作れ、管理用のサーバーを運用せよ、ウーバーの新サービス・アプリを開発せよ、と言うのはかなり難しいわけです。

 

AIやロボットが仕事を奪う(人間が失業する)、というコンテキストには、以下(2)つの意味があります。

 

(1) AIやロボットが、人間の仕事を直接的に代替する (例)自動車工場の組立工がAIやロボットに代わる

(2) (1)のAIやロボットを製造・管理する仕事は、高度なITスキルを学んだ人に限られる(万人ができるわけではない)(例)無人工場の管理を行えるのは、ITリテラシーの高い人が行う

 

戦後、日本の教育は、「平均的なことを、国民全員ができるようにする」ことを主目的とされてきました。だから、(1)に対する耐性、つまり、従来の延長戦上にある、少し難しい作業を行うことについては、ある程度の対応がきく。だから、(1)の理由で、仕事が奪われることは少ないように思います。

 

一方、(2)のような、従来の延長線上にない作業について、日本人はからっきし弱い。ITリテラシーなど、世界最低レベルでしょう。加えて、(2)のスキルは、国という地理的な制約を超えて、支配者が総取りする性質のものですから、日本人にとっては極めて危機的な状況になる可能性が高いように思います。

花形のIT資格は、花形ではない?!


さて、話を資格に戻しましょう。ここでいう資格とは、個人の趣味・嗜好のためではなく、ビジネスに活用することを目的にしています。ビジネスは生き物のように、日々動いていますから、その時のトレンドに合ったものが要請されます。資格も同じことです。

 

AIやロボットの時代には、それに関連するIT系の資格が重視されます。では、IT系の資格とは、どのようなものでしょうか?

 

日本でIT資格というと、次のようなものが該当します。

 

ITパスポート、情報セキュリティマネジメント、基本・応用情報技術者、ITストラテジスト、システムアーキテクト、プロジェクトマネージャ、ネットワークスペシャリスト、データベーススペシャリスト、エンベデッドシステムスペシャリスト、情報処理安全確保支援士、ITサービスマネージャ、システム監査技術者、PMP®、ITIL®、ビジネスアナリシス、LPIC、PCI DSS・・・

 

ふぅ・・・、実際にはもっとある。で、これらの資格が、どれほど外資で評価されるかというと・・・、残念ながら、その評価は限定的なんですよね、これが。なぜ、日本のIT資格は、グローバルレベルでは評価されないのか? 次回、その理由についてお話ししたいと思います。

(次回に続く)

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この記事の筆者

奈良タカシ

1968年7月 奈良県生まれ。

大学卒業後、某大手銀行に入行したものの、「愛想が悪く、顔がこわい」という理由から、お客様と接する仕事に就かせてもらえず、銀行システム部門のエンジニアとして社会人生活スタート。その後、マーケット部門に異動。金利デリバティブのトレーダーとして、外資系銀行への出向も経験。銀行の海外撤退に伴い退職し、外資系コンサルティング会社に入社。10年前に同業のライバル企業に転職し、現在に至る ( 外資系2社目 )。肩書きは、パートナー(役員クラス)。 昨年、うつ病にて半年の休職に至るも、奇跡の復活を遂げる。

みなさん、こんにちは ! 奈良タカシです。あさ出版より『外資流 ! 「タカシの外資系物語」』という本が出版されています。
出版のお話をいただいた当初は、ダイジョブのコラムを編集して掲載すればいいんだろう ・・・ などと安易に考えていたのですが、編集のご担当がそりゃもう厳しい方でして、「半分以上は書き下ろしじゃ ! 」なんて条件が出されたものですから、ヒィヒィ泣きながら(T-T)執筆していました。
結果的には、半分が書き下ろし、すでにコラムとして発表している残りの分についても、発表後にいただいた意見や質問を踏まえ、大幅に加筆・修正しています。 ま、そんな苦労 ( ? ) の甲斐あって、外資系企業に対する自分の考え方を体系化できたと満足しています。

書店にてお手にとっていただければ幸いです。よろしくお願いいたします。
奈良タカシ

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