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鈴木美加子のグローバル人材塾

外資で必要なアサーティブネス – 農耕民族 vs 狩猟民族2021.01.19


先週の金曜日は、Daijob.com社主催のキャリアフェアでセミナーを行いました。そこで感じた“農耕民族とされる日本人がアサーティブネスを鍛える必要性”を、本日のテーマとします。

セミナーは言語が英語だったからか、フタを開けたら91名の参加者のうち大多数が海外に住んでいる外国人という結果になりました。オンラインで最初は参加者のプロフィールがよくわからなかったので、「最後のQ&Aのパートで質問にお答えしますので、聞きたいことがある方はチャット欄に書いてください」と頼んで、セミナーを開始しました。

セミナー講師にとってQ&Aのパートは綱渡りのことが多いです。質問が入っていなかったら、参加者からどう質問を引き出すかを考えないといけません。「チャット欄のコメントはどんな内容でも大丈夫です」とセーフティ・ネットを示して誘導しますが、日本人同士の場合は、最初の質問が記入されるまで皆さん様子見のことが多いのです。今回はQ&Aに20分を割いていたので、ドキドキでした。

さて、セミナー本体が終了してQ&Aのパートになりました。スマホでチャット欄を見たら、なんと山のようにコメントが入っています。 全部の質問に20分で答えられないのは一目瞭然でした。驚愕です。他の人にどう思われるかなんて誰も気にしておらず、「無料で聞けるんだから質問しないと損」みたいな流れです。

そして実は質問だけではなかったのです。当日、「なんだか質問を拾いにくいな」と思いながらQ&Aパートを進めたのですが、後でよく読むと、参加者同士がチャット欄で意見交換をしあって「ありがとう」で会話が終わっているスレッドが幾つもありました。 「質問を書いてください」と言われたら、それ以外のことはしないだろう日本人との違いも興味深かったです。

外資系では「アサーティブネス(主張する力)」が大切ですと、日々お伝えしている私も、本当に驚きました。そしてオーストラリアの学校で、先生が質問するとものすごい勢いで発言するクラスメート達を思い出しました。留学組は、英語力でかなわないですし、あそこまでの瞬発力で喰いつくのはなかなか難しいです。ベースが狩猟民族であり、アサーティブを良しとする文化で教育を受けてきた人たちとの差を埋める必要性を再認識しました。

外資系で働いている外国人は日本滞在が長くなると「郷に入れば郷に従え」で、さすがに前出のようなことは起きませんが、根っこのところはこんなにアサーティブなんだと思い出すことは大事です。外資で海外在住の外国人とお仕事をしている方は、これが彼らの本来の姿なのです。海外とのテレコンで、自分が話をしている最中に遮られることがありますが、彼らのスタンダードからしたらマナー違反ではないのでしょう。負けないで、気おくれすることなく、英語なので少し強い口調かなと思える程度に”I am still speaking.”と言って大丈夫です。

これから外国人と働くかもしれない方々、エピソードに驚いたかもしれません。よく考えると、日本人は確かに田畑と向き合ってきた農耕民族ですが、同時に海洋民族でもありました。眠っているDNAを活性化させれば、アサーティブになることも可能なはずです。それには、まず日々の生活で同調しなくても良い時に、自分の意見を伝えることから始めましょう。

- コロナ前、ランチタイムに誰かが「カツ丼」と言うと「あ、俺もそれでいい」と言ったことはありませんか? 本当にカツ丼が食べたい場合はともかく、”なんとなくみんなと同じ”
はストップして、自分はどうしたいのかを口にする習慣をつけましょう。

- プライベートでYES/NOを求められている時に、返信しないことによって”No”を伝える「あ・うん」コミュニケーションをやめましょう。相手は返信が来ないあいだ、ずっと待つことになりますし、人によっては無視されたと誤解することもあります。


- 反対意見をなかなか言いにくい場合は、提案型にするのも有効です。「〇〇してください」と言い切るのではなく、「◯○してはどうでしょうか?」「しませんか?」と相手を巻き込むようにすると応援されやすくなります。

人前で自分の意見を言うことを良しとされない同調圧力の強い国で育つ日本人ですが、グローバルに仕事をする場面では、「アサーティブネス」が必要になります。アサーティブになれるよう日頃から心がけることは大事です。外国人と一緒に仕事する上でストレスを感じる場面に出くわしたら、「悪気は全くない」し「自分の存在をアピールすることを良しとする文化で育っている」ことを思い出して、ネガティブ・エネルギーを昇華してください。



※編集部注:鈴木美加子さんのセミナー「Working for foreign-capital companies in Japan ~Differences in corporate culture and desired candidate profile~」など、転職に役立つセミナー・国内外のグローバル企業による採用セミナーを、1月22日(金)までアーカイブ配信中! ぜひご覧ください。(視聴には参加登録(無料)が必要です。)

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この記事の筆者

鈴木美加子
グローバル・キャリア・カウンセラー /(株)AT Globe 代表取締役

日本GEに入社して人事のキャリアをスタートさせ、モルガン・スタンレーなどを経て、日本DHL人事本部長を務める。帰国子女でも海外赴任経験者でもないが、TOEIC960点をマークし外資系企業でキャリアアップした経験を元に、個人のキャリアアップを支援している。2011年から18か月、オーストラリアに居住し、海外勤務・海外からの帰国希望者のキャリア相談にも乗ることができる。
個人向けのキャリア相談の他、企業向けに、リーダーシップ研修、チームビルディング、組織分析、異文化マネジメント、グローバルコミュニケーション研修を行っている。ルミナスパーク、ルミナリーダー公認講師、ホフステード異文化モデル公認講師、STAR面接法・認定講師

株式会社AT Globe http://atglobe.jp/

強みを最大限に活かし、個の力を発揮出来る人材を一人でも増やすことで、母国を元気にすることをミッションとする。ルミナというアセスメント・ツールを使い、個人・法人向けの人材育成事業を行う。

 

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