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鈴木美加子のグローバル人材塾

NOが言える日本人になる2021.02.09


元・外資系人事部長、現グローバル人材プロデューサーの鈴木美加子です。本日のテーマは、「NOが言える日本人になる」です。

日本人には、返事が「NO」だとしても、相手の心情をおもんぱかり、「NO」とダイレクトに言わずに伝える傾向があります。しかし、この「NO」が言えないことが、外国人と仕事をする上で障害になることがあります。

日本はハイ・コンテクストの文化です。前後の文脈や空気を読んだり、「あ・うん」のコミュニケーションを取ったりすることを得意とします。また、恥の感覚も強い国でもあるため、「できない」ことを認めると面子が潰れると考え、「NO」を伝えることが苦手です。伝えないことで、実は返事がNOであるとわかってもらおうとします。残念ながら、グローバルコミュニケーションにおいて厄介なことは、世界のすべての文化がハイ・コンテクストではなく、明確に口にしないと伝わらないロー・コンテクストの国が多々あることです。

ハイ・コンテクストの国には、アジアやイラン、サウジアラビアなどの中東、ケニアなどのアフリカ諸国があります。長い歴史と伝統を有し、民族的にも多様ではない国は、長年同じ文化、同じ空気のなかで暮らしてきたので、言葉を使わないコミュニケーションでも相手を理解することができます。 ロー・コンテクストの国には、アメリカ、オーストラリア、カナダ、ドイツ、フィンランドなどがあります。これらの国は移民が多いなど共通の文化的背景を持たないことから、相手に明確に言語で伝えないと通じないのが特徴です。

具体的な実例を挙げてみます。あるイギリス人の社長が地方にある企業と14年間、企業研修の仕事をしてきました。ある年、15年目の契約について担当の高田さんにメールを送りました。「来年の予算と研修計画について、そろそろお話しさせてください。」 いつも返信の早い高田さんから返事がありません。不思議には思いましたが忙しいのだろうと、10日ほど放置しました。それでも返事が来ないので、リマインダーのメールを送りました。再び返信がありません。どうしたんだろうと電話をかけてみることにします。直通の電話番号なのに、同じ部署の他の人が電話に出て、「高田は本日不在です」と言われました。困ったイギリス人は、「出張で大阪に行くので、その帰りに御社に寄りたいと思います。つきましてはスケジュールの空きを教えてください。」と再度メールを送りました。

すると、さすがに返信がありました。事情は会社の経営状況がおもわしくなく、翌年の企業研修を社員が講師をしているもの以外は凍結することになったということでした。それを聞いて、イギリス人の社長は火のように怒りました。

なぜ怒ったのか、皆さん見当がつきますか?  彼は私に言いました。「ミッキー、誤解しないでくれ。確かに契約が更新されない事は、経営者としてガッカリではあるが、そのことを怒っているわけではない。僕が怒っているのは、高田さんが初めから、来年は研修を発注しないと分かっているのにそれを伝えず、僕の時間を無駄にしたことだ。僕は経営者なので、1,100万円の売り上げが入ってこないとわかったら、即座にバックアップ・プランを考える必要がある。高田さんがした事は相手のことを全く考えていない。14年間も一緒に仕事をしてきたのに、残念で仕方がない。」
日本人の感覚ですと、14年間も一緒に仕事をしてきた相手だからこそ、翌年の発注ができないことを忍びなくて伝えられなかったのかもしれません。根本的な考え方が異なったことから、相手を怒らせてしまいました。
NOならNOで良いので、返事を早く相手に伝えることが大切です。

以前、アメリカ人の友人が起業したての私に「人脈が広がるかもしれないから、クリスマス・パーティに来ないか」と誘ってくれたことがありました。会費は15,000円です。私は、「私のことを思い出してくれてありがとう。起業したてで、どんな方の集まりかよくわからないパーティに15,000円は出せないな。また勉強会でもあったら声かけてね。」と即、欠席の返事をしました。 彼にノルマがあって、集めないといけない人数がある場合、欠席の返事は早くもらえた方がありがたいだろうと思ったからです。 大勢に向けての告知で出欠を聞かれている場合はともかく、自分宛に来ていて返信しないのは失礼ですし、相手を困らせます。返事はNOだけど口にできないとは夢にも思わないので返事を待ち、無視されているのだろうかと誤解する可能性もあります。

「あ・うん」のコミュニケーションを捨てて、自分の意志をはっきり伝えるようにしましょう。英語圏には同調圧力はほぼ存在しませんし、NOはNOで構わないのです。 外国人と対等に仕事ができるグローバル人材を目指し、NOを伝えられるように習慣づけましょう。

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この記事の筆者

鈴木美加子
グローバル・キャリア・カウンセラー /(株)AT Globe 代表取締役

日本GEに入社して人事のキャリアをスタートさせ、モルガン・スタンレーなどを経て、日本DHL人事本部長を務める。帰国子女でも海外赴任経験者でもないが、TOEIC960点をマークし外資系企業でキャリアアップした経験を元に、個人のキャリアアップを支援している。2011年から18か月、オーストラリアに居住し、海外勤務・海外からの帰国希望者のキャリア相談にも乗ることができる。
個人向けのキャリア相談の他、企業向けに、リーダーシップ研修、チームビルディング、組織分析、異文化マネジメント、グローバルコミュニケーション研修を行っている。ルミナスパーク、ルミナリーダー公認講師、ホフステード異文化モデル公認講師、STAR面接法・認定講師

株式会社AT Globe http://atglobe.jp/

強みを最大限に活かし、個の力を発揮出来る人材を一人でも増やすことで、母国を元気にすることをミッションとする。ルミナというアセスメント・ツールを使い、個人・法人向けの人材育成事業を行う。

 

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