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有元美津世のGet Global!

東マレーシア -- ボルネオ島 (1) 2024.02.20

 

私はマレーシアのサバ州(Sabah)に1ヵ月滞在した後、サワラク州(Sawarak)の首都、クチン(Kuching)に滞在中です。中国人観光客でいっぱいだったサバとは違い、海外からの観光客は非常に少なく、マレーシア人観光客が中心です。(でも、日本人観光客がチラホラいる。)

マレーシアは、日本人にとって引退後の移住先として人気なだけでなく、日本企業が多く進出しているため、日本から赴任する人も少なくありません。Daijob.comでも、「マレーシア勤務」の求人が結構あります。

マレーシアに関しては、過去に何本も書いたのですが、西マレーシア(マレー半島)に関するものばかりだったので、今回は、東マレーシア(ボルネオ)について書きたいと思います。

 

ボルネオ島

 

マレーシアの首都がクアラルンプール(略して「KL」と呼ばれる)であることを知っている人は少なくないと思いますが、「サバとかサワラクって、どこにあるの?」という人もいるでしょう。これは、日本人だけでなく、元宗主国のイギリスも含め、「マレーシアでノマドしたい」「引退したい」という他の国の人たちの間でも同様です。大半の人が、ボルネオの一部もマレーシアであること、ボルネオという島が存在することすら知らないのです。

クアラルンプールがあり、タイやシンガポールと陸続きなのが、マレー半島で、マレーシアでは"the Pnensula"や"Malaya"と呼ばれます。それに対するのが東に位置するボルネオ島(Borneo)です。

日本の倍近くの大きさのボルネオ島は、マレーシア以外に、インドネシアとブルネイに属します。一番大きな面積を占めているのがインドネシア(Kalimantanと呼ばれる)で7割以上になります。次にサラワク州、サバ州、一番小さいのがブルネイです。春節には、ブルネイからサバやサラワクに車でやってくる観光客で道路は渋滞していました。(※1)

サワラクとサバは、マレーシア連邦の自治州であり、外国人だけでなく、マレーシア人も入境には入管手続きを行なう必要があります。なお、マレーシアは、今年から入国手続きがオンライン化され、到着する前にネットで行なっておく必要があります。(サバからサワラク入境の際には、航空会社に滞在日数を聞かれ、出境の航空券を提示するように言われました。アプリの予約画面の写真まで撮っていた!今まで80ヵ国ほど訪れているが、そこまでやった国はなし。)

 

自然美が魅力

 

ボルネオ島の魅力は、その豊かな自然でしょう。サワラクにもサバにも、多くの国立公園があり、熱帯雨林 (rainforest)、オランウータン保護センターなどがあります。昨年、私が訪れたサバのキナバル山(Mt Kinabalu)は4000メートルあり、世界遺産にも登録されています。

サワラクの国立公園は、ほとんどが熱帯雨林、山なのですが、サバには、海洋公園の方が多いです。 サバの西海岸にある島々もきれいですが、東海岸の島々は「マレーシアのモルディブ」とも言われるくらいきれいです。センポルナ(Semporna)から船で渡る水上リゾートには、モルディブに比べ格安の料金で泊まれます。(食事も、モルディブよりおいしい。)

ダイビングスポットとして有名なのですが、日本や欧米では知名度は低いものの、中国人の間では大人気です。コロナ前は、センポルナを訪れる観光客の9割が中国からだったそうです。同年、マレーシアを訪れた中国人は、全体の12%だったので、いかにセンポルナに中国人観光客が集中しているかがわかります。

私は、昨年もセンポルナを訪れたのですが、中国がまだ出国を解禁していなかったので、中国人観光客は少なかったものの、町中、中国語の表記だらけでした。泊まったホテルも、ツアーの情報は中国語のみで、英語のものはありませんでした。今年は、センポルナの街も、周辺の島も中国人で溢れ、私が泊まったリゾートでも宿泊客の9割が中国人でした。(どこに行っても北京語で話しかけられるので、「私は中国人ではない」というのをマレー語で言えるようになった。)

ひょっとすると台湾人も混じっているかも、と、(センポルナの最寄りの)タワウ(Tawau)の空港からKKに戻る飛行機に乗る際に、搭乗客を観察していたのですが、9割が中国のパスポートで、台湾のパスポートは見かけませんでした。

 

中国人観光客招致

 

サバの州都、コタキナバル(KK)には、中国の8都市から直行便が飛んでおり、今年の春節にはKLやKKだけでなく、タワウにもチャーター便が飛んでいたようです。マレーシア政府は、今年、中国から700万人の観光客招致を目標としており(昨年の5倍!)、さらに中国からの直通便やチャーター便を増やす予定です。マレーシア政府は、12月から中国だけでなく、インドに対してもビザ免除措置を開始し、今年のインバウンド目標2700万人(昨年の倍)の達成に意欲的です。

なお、センポルナに(マレーシアの他の地域に比べ)イギリスやオーストラリアからの観光客が少ない理由のひとつは、10年ほど前にフィリピンの武装集団により観光客などが誘拐される事件が相次ぎ、今も、自国政府が渡航中止勧告を出しているからです(日本や韓国も)。(※2) サバのオンラインコミュニティでも、ときどき「政府が渡航禁止勧告を出しているけど安全?」と質問しているヨーロッパ人がいますが、地元民や他の観光客からの返答は「誘拐は昔の話で、最近は起こってない」「その後、マレーシア政府が保安を教化しているから大丈夫」というものです。

ちなみに、センポルナ沖の島々からフィリピンのミンダナオ島は、すぐ目の前で、地元の人たちは船で渡れるらしいのですが、外国人はKLやマニラ経由で飛ぶしかありません。フィリピンのパラワン島もサバからすぐで、フェリーで渡れればいいなと思うのですが、旅行業界が提案し、マレーシア政府が検討しているようです。以前あったKKからプエルトプリンセサ(Puerto Princesa)へのフライトも、マレーシアが再開を提案し、フィリピン側が検討に入っています。

尚、過去に書いたマレーシア関連記事をリストアップしています。ご興味ある方はぜひご一読ください。

アジアの多民族国家
マレーシアの多国籍料理
マレーシアの英語 (1)— 通じるとはいうものの
マレーシアの英語(2)─ English Crisis(前)
マレーシアの英語(3)─ English Crisis(後)
マレーシアの英語(4)─ Manglish(前)
マレーシアの英語(5)─ Manglish(後)
マレーシアの頭脳流出(1) ─ 海外を目指す大卒者
マレーシアの頭脳流出(2) ─ 多民族国家の苦悩
マレーシアの頭脳流出(3) ─ 外国人にはチャンス
マレーシアで活躍する女性たち



(※1)春節では、シンガポールからジョホルバルへの道も大混雑で、入国には最高二時間半かかったとか。MYR(マレーシアリンギッド)は、米ドルよりも星ドルに対して大幅に下落しており、シンガポールの人にとっては、元々、安いマレーシアが、さらに安くなり、買物するには持ってこいの状態。なお、マレーシアを訪れる観光客の4割がシンガポールから。

(※2)マレーシアの観光客の8割がインドを含むアジアから。元々、マレーシアを含むイスラム教国は、アメリカ人には人気がない。2023年のアメリカ人観客客数は、人口が3分の1の日本とほぼ同等。コロナ前は、日本人観光客はアメリカ人をy割上回っていた。

 

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この記事の筆者

有元美津世

大学卒業後、外資系企業勤務を経て渡米。MBA取得後、16年にわたり日米企業間の戦略提携コンサルティング業を営む。社員採用の経験を基に経営者、採用者の視点で就活アドバイス。現在は投資家として、投資家希望者のメンタリングを通じ、資産形成、人生設計を視野に入れたキャリアアドバイスも提供。在米30年の後、東南アジアをノマド中。訪問した国は70ヵ国以上。
著書に『英文履歴書の書き方Ver.3.0』『面接の英語』『プレゼンの英語』『ビジネスに対応 英語でソーシャルメディア』『英語でTwitter!』(ジャパンタイムズ)、『ロジカル・イングリッシュ』(ダイヤモンド)、『英語でもっとSNS!どんどん書き込む英語表現』(語研)など30冊。

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