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鈴木美加子のグローバル人材塾

外資系勤務で感じるかもしれないストレス要因2024.01.23

 

元・外資系人事部長、現グローバル人材プロデューサーの鈴木美加子です。今回のテーマは、外資系企業で働く上で感じるかもしれないストレス要因です。前回は外資系勤務のメリットに焦点を当てました。どんなに素晴らしい職場でも100%完璧はあり得ないので、外資系勤務で感じやすいストレスについて解説します。

 

1. 最終決定権が日本法人にない

 

外資系企業に共通するデメリットとして、最終決定権が日本法人にないことが挙げられます。役職が上がるにつれ、本社の意向と日本法人の現実に挟まれることが多くなります。

例えば、マーケティングでリサーチを行っている場合、日本の顧客ニーズを把握し、適切な製品を開発することが求められます。しかし、日本の市場ニーズを分析した結果を本社に報告しても、日本向けの製品開発が実現するかどうかは本社の判断になります。本社は世界市場を見据え、コスパ良く多くの国で競争できる製品を開発したいと考えています。このため、日本市場にしか当てはまらないような高額商品を開発することは難しい場合もあります。

日本法人の社員にすると「理不尽」に感じることもありますが、あくまで最終決定権は本社にあります。この点だけは割り切れないと外資系で働き続けるのは難しいです。

 

2. 自己PR力のある人が出世しやすい

 

外資系企業では、表現力が高く英語が堪能で、上層部に自分をアピールできる人が昇進しやすい傾向にあります。外資は謙虚さよりもアサーティブネスを好むため、真面目で着実なタイプはやや不利で、実力を理解してもらうまでに少し時間がかかりがちです。外資に転職する場合、自分をPRできる力があるかどうかは重要ポイントです。

1年間の業績評価が行われるまでに、自分の実力をアピールできる機会は複数回あるので得意分野を磨き、チャンスが来た時に自分をアピールできるよう努力することが成功の鍵です。自分の口で自己PRするのが苦手な場合は、他部署やお客様から頂いた”Thank you” メールを上司に転送することで自分の仕事のレベルを示すなど工夫が必要です。

 

3. 離職率が高く担当が変わりやすい

 

外資系企業には、転職するのが当たり前と思っている社員が多いです。上司、同僚、部下が1年後も同じ職場にいるかは不透明です。つまり人間関係上のトラブルが現在あったとしても当事者が転職したら、解消されることを意味し気楽に構えることが可能になります。ここまでは外資系勤務のメリットでしょう。

ただ担当者が変わるたびに引き継ぎがきちんと行われないことが多く、残された社員にとってのストレスになる可能性はあります。例えば、これまでの取引経緯がわからず、ゼロからお客様との関係を築く必要があることも考えられるのです。即戦力採用の外資では、「引き継ぎがされなかった」は、残念ながら仕事を回せない理由にならないので、自ら能動的に動いて情報収集をしたり周りを巻き込んで応援してもらえるようにしたいです。

 

4. 本社及び駐在員に対する説明責任

 

外資系企業では、本社に対して日本市場のニーズや広告の好みが異なることを根気よく説明しなければなりません。駐在員に対しても同様です。外資系社員はしばしば本社と日本法人の架け橋となることを求められ、それなりにエネルギーが必要です。

私は、転職するたびに「日本では労働基準法に則って即日解雇はできません」と説明することがルーティンでした。一番最初に英語で説明したとき、本当に大変だったことを覚えています。

 

5. 休暇中の業務連携

 

日本人は働きすぎる傾向にあり、外資系の社員でも長期の有給休暇(2週間以上)を取得する人は少ないです。比較して海外の社員は、4週間くらいの休暇を取る人がいくらでもいます。前もって休暇を取るタイミングを教えてくれると助かるのですが、気がついたらいきなり休暇中と判明し、何がどこまで進んでいるのか全くわからないことはよくあります。

外資勤務が長く、海外とのやり取りが多く慣れている人は、春くらいになったら今年の夏の休暇についてヒヤリングして、穴が空くことを回避しているようです。



前回の外資系勤務のメリットと合わせて、ストレスを感じるかもしれない要因を事前に理解してミスマッチを避けてください。

 

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この記事の筆者

鈴木美加子
グローバル・キャリア・カウンセラー /(株)AT Globe 代表取締役

日本GEに入社して人事のキャリアをスタートさせ、モルガン・スタンレーなどを経て、日本DHL人事本部長を務める。帰国子女でも海外赴任経験者でもないが、TOEIC960点をマークし外資系企業でキャリアアップした経験を元に、個人のキャリアアップを支援している。2011年から18か月、オーストラリアに居住し、海外勤務・海外からの帰国希望者のキャリア相談にも乗ることができる。
個人向けのキャリア相談の他、企業向けに、リーダーシップ研修、チームビルディング、組織分析、異文化マネジメント、グローバルコミュニケーション研修を行っている。ルミナスパーク、ルミナリーダー公認講師、ホフステード異文化モデル公認講師、STAR面接法・認定講師

株式会社AT Globe http://atglobe.jp/

強みを最大限に活かし、個の力を発揮出来る人材を一人でも増やすことで、母国を元気にすることをミッションとする。ルミナというアセスメント・ツールを使い、個人・法人向けの人材育成事業を行う。

 

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